スクワットも、ストレッチも、骨盤矯正も。正しいやり方で、ちゃんと続けてきた。 なのに脚だけ変わらない。——このとき私は、種目を足しません。回数も増やしません。 足りないのはメニューではなく、順番だからです。
脚やせのトレーニングは、やる順番で結果が変わりますか?
変わります。同じスクワットでも、順番が合っていないと脚は太くなります。 「脚を鍛えるためのスクワット」と「あなたの脚が太くなる原因を特定した上でのスクワット」は、体への作用がまるで別物です。
ですので当ジムでは、種目を決める前に動きを評価します。そして最初に決めるのは、やることではなく 「やらないこと」のほうです。今その人が使える状態にない動きには、強度をかけません。
なぜ、順番が結果を決めるんですか?
人の動きは積み上がってできていて、後から覚えた動きは、先に覚えた動きの上に乗っているからです。 下が働いていない状態で上だけ鍛えても、体は元の使い方に戻ります。
これは根性や体質の話ではありません。土台の無いところに乗せたものは落ちる、というだけの話です。 だから私は、いちばん下で止まっている場所を先に探します。そこが動き出すと、上は驚くほど簡単に変わります。
具体的には、どういうことですか?
ウエストの例がいちばん分かりやすいです。体をひねる動きは、首が回らないと出ません。
ウエストを細くしたいので、体をひねる運動をする。ここまでは合っています。 ただ、ひねる動きは背中の上のほう(胸椎)が回らないと出ません。そして胸椎が回るには、その下敷きとして 首(頚椎)が回ることが要ります。動きとしては首の回旋のほうが古いからです。
首が回っていない方に、いくらひねる運動をしてもらってもウエストは変わりません。回っていないところの上で頑張っているだけなので。 この場合、私が最初にやるのは腹筋ではなく首です。順番を戻すと、同じひねる運動が効き始めます。
※ これは代表トレーナーが現場で使っている整理の仕方です。論文を引いた話ではなく、20年以上見てきて、この順番で入ると変わる方が多いという経験によります。
脚の場合、しゃがむ動きはどこにありますか?
かなり後ろのほうです。だから「しゃがみ方が悪い」のは、たいてい原因ではなく結果です。
呼吸、体の真ん中の安定、寝た状態で手と脚を別々に動かせるか、四つ這い、立つ。しゃがむ動きは、この列の後ろに来ます。 手前が抜けたままフォームだけ直しても、その場では直って、日常に戻ると元の使い方に戻ります。 だから私は、しゃがみ方から入りません。その手前のどこが抜けているかを見ます。
評価では、何を見ているんですか?
しゃがむ動きを横から見て、3つを見ています。深くしゃがめるかどうかは見ていません。
1. 動き出しの順番。 どこから動き始めるか。膝からいくのか、股関節からいくのか、その前に体が固まるのか。ここにいちばんはっきり出ます。
2. どうやってしゃがんでいるか。 深さではありません。どこを使って、どこをサボって降りているか。
3. 脚が太くなるしゃがみ方になっていないか。 このまま回数を重ねると前ももとふくらはぎが張っていく、という降り方があります。そこを先に外します。
「使えない」と判断された動きは、どうするんですか?
その動きには強度をかけません。重さも回数も足しません。 代わりに一段やさしい動きを、低い強度で、質だけ見て繰り返します。
疲れて動きが崩れたら、そこで終わりです。回数は追いません。 ここに筋肥大や筋力アップの理屈を持ち込むと必ず崩れます。目的が違うからです。 この段階でやっているのは、鍛えることではなく動きを戻すことです。
これが「やらないことを決める」の中身です。やらないと決めた分だけ、やることの効きが上がります。
それは、遠回りではないですか?
効かないメニューを3ヶ月続けるほうが、はるかに遠回りです。
しかもその3ヶ月のあとに残るのは「頑張ったのに変わらなかった」という記憶だけで、次に続きません。 順番さえ合っていれば、種目は特別なものでなくて大丈夫です。同じスクワットの効き方が変わります。
自分で確かめる方法はありますか?
しゃがむところを、横から5回撮ってみてください。正面ではなく横です。
正面からだと、見たいところが見えません。スマホを壁に立てかけて床が入るように置き、1歩半離れて横を向いて、ゆっくり5回しゃがむ。 深くしゃがめなくて大丈夫です。撮ったものを自分で見て分からなければ、送っていただければどこで順番が抜けているかをお返しします。

