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同じプロテインを飲んでいるのに、なぜ筋肉のつき方に差が出るのか

「毎日プロテインを飲んでいるのに、周りと比べて体つきが変わらない」

「同じ量を飲んでいるはずなのに、自分だけ効いていない気がする」

「量を増やした方がいいのか、それとも飲み方が間違っているのか分からない」

まじめに続けているからこそ、変化を感じられないと、自分のやり方が間違っているのではないかと不安になってしまう。その気持ちはよく分かります。

結論:同じ量のプロテインを飲み、同じようにトレーニングをしていても筋肉のつき方に差が出るのは、体が筋肉を作る合成のスイッチを入れるために、ある一定の刺激量を一度に超える必要があるからです。総量よりも、一回あたりに血中へ届くアミノ酸の速度と濃度が効いていると考えられています。今日はその仕組みを説明したうえで、私が実際に良いと感じている商品も紹介します。

なぜ「同じ量を摂っている」のに差が出るのでしょうか

まず整理しておきたいのは、プロテインを飲むこと自体が筋肉を作っているわけではないということです。筋肉のたんぱく質は、日々合成と分解を繰り返していて、トレーニングによる刺激と、材料となるアミノ酸の供給がそろったときに、合成が分解を上回る方向に傾きます。この「合成のスイッチが入るかどうか」を左右しているのは、摂取した量の合計よりも、血液中に届くアミノ酸の速度と濃度である可能性が高いと考えられています。

筋合成のスイッチ、ロイシン閾値とは何でしょうか

たんぱく質を構成するアミノ酸の中でも、ロイシンという分岐鎖アミノ酸は特別な働きをします。ロイシンは、細胞内でmTORC1という複合体を活性化させる引き金になり、この複合体が働くことで、筋肉のたんぱく質を新しく組み立てる合成装置そのものが動き出します。

ここで重要なのは、この引き金が「量に比例してゆるやかに反応する」のではなく、ある濃度を超えたところで初めて強く働き出す、閾値的な性質を持っているという点です。一回の食事やプロテイン摂取で、血中のロイシン濃度がこの閾値を超えなければ、いくら総量としてたんぱく質を摂っていても、合成のスイッチが十分に入らないまま終わってしまいます。少量のプロテインを一日中こまめに飲むより、ある程度まとまった量を一度に摂ったほうが合成が働きやすいとされるのは、この閾値の性質によるところが大きいと考えられます。

消化の速さが、届くタイミングを決めているのでしょうか

同じたんぱく質でも、消化されて血中にアミノ酸として届く速さは、たんぱく源によって異なります。ホエイプロテインは牛乳から分離される水溶性のたんぱく質で、胃の中で固まりにくく、小腸での消化酵素の働きを受けやすい構造をしています。そのため、摂取後の短い時間で血中アミノ酸濃度が急激に上がりやすい性質を持っています。

一方、カゼインのように胃の中で凝固しやすいたんぱく質は、消化がゆるやかで、アミノ酸の供給が長く続く代わりに、血中濃度の立ち上がりは緩やかです。トレーニング直後のように、短時間でロイシン閾値を超えることが求められる場面では、消化吸収の速いたんぱく源のほうが、合成のスイッチが入りやすいという理屈になります。同じ「プロテイン」という言葉でくくられていても、分子構造の違いが、体内での働き方の違いに直結しているのです。

なぜ体は、これほど厳格な閾値を持っているのでしょうか

進化の視点で見ると、この仕組みには理由があります。筋肉を維持することは、体にとってエネルギーコストの高い作業です。使ってもいない筋肉を、少しの栄養が入ってくるたびに際限なく増やしていては、限られたエネルギー資源をすぐに消耗してしまいます。

そのため体は、無駄な同化を避けるための安全装置として、トレーニングによる機械的な刺激と、一定量以上のアミノ酸供給という、複数の条件がそろったときにだけ合成を進める仕組みを持つように進化してきたと考えられています。プロテインだけを摂って運動をしなければ筋肉がつきにくいのも、この仕組みの表れです。材料が十分にあっても、体を使ったという信号がなければ、体は合成に踏み切らないということです。

年齢によって、必要な閾値は変わっていくのでしょうか

もうひとつ見落とされやすいのが、年齢によってこの閾値そのものが変化するという点です。加齢に伴い、同じ量のアミノ酸を摂取しても、若い頃と比べて筋合成の反応が鈍くなる現象が知られています。同化抵抗性と呼ばれるこの状態では、若い人であれば十分な量でも、閾値を超えるにはより多くの、あるいはより効率よく吸収されるたんぱく質が必要になると考えられています。

「若い頃と同じ量のプロテインを飲んでいるのに、筋肉のつきが悪くなった」という感覚には、こうした背景がある場合があります。年齢だけでなく、日々の総エネルギー収支が不足している場合も、体はエネルギー不足を優先的な問題ととらえ、筋肉の合成を後回しにする傾向があります。プロテインの量を増やす前に、まず食事全体でエネルギーが足りているかを確認することが、遠回りに見えて必要な出発点になります。

亜鉛やビタミンB群は、どう関わっているのでしょうか

筋肉の合成そのものはアミノ酸とロイシンの働きが中心ですが、その過程を支える酵素の中には、亜鉛やビタミンB6を補因子として必要とするものが含まれています。たんぱく質からアミノ酸を切り出す消化酵素や、アミノ酸を代謝経路に送り込む変換反応には、こうした微量栄養素が関わっています。プロテインという主役だけに注目しがちですが、代謝の裏側を支えるこれらの栄養素が不足していれば、同じ量を摂っても効率は落ちてしまう可能性があります。

当ラボではどのように評価しているのでしょうか

会員さんから「プロテインを飲んでいるのに筋肉がつかない」という相談を受けたとき、私たちがまず確認するのは、摂取のタイミングと量の配分、そして総エネルギー摂取量です。一日の中でたんぱく質が少量ずつ分散していて、一度もロイシン閾値を超えていない可能性がある場合は、まとまった量を摂るタイミングを見直します。逆に、量もタイミングも十分なのに変化が乏しい場合は、睡眠やトレーニング強度そのものに原因があると考え、優先順位を変えて確認していきます。原因を決めつけず、何が閾値に届いていないのかを一緒に切り分けることを大切にしています。

現場で見てきたこと

24年の指導で多いのは、プロテインの銘柄や量を熱心に調べている一方で、三食の内容がほとんど検討されていないというケースです。以前、練習後に必ずプロテインを飲んでいるという学生の選手から、「思ったほど筋肉がつかない」という相談を受けたことがあります。話を聞くと、部活後に一気に飲む一方で、それ以外の食事は軽めで、一日の総摂取エネルギーが練習量に見合っていない状態でした。プロテインのタイミング自体は理にかなっていたため、まずは三食の量を見直してもらったところ、数ヶ月後には「体つきが変わってきた」と話してくれました。効果の感じ方には個人差があり、これはあくまで一例です。

日常でできること

プロテインを選ぶときは、量だけでなく、いつ、どのくらいの速さで吸収されるかという視点を持ってみると、これまでと違う見え方ができるかもしれません。私自身、トレーニング直後の吸収の速さを重視したいときには、BREAK LIMIT ホエイプロテイン(https://amzn.to/4vmbn75)を取り入れることがあります。ホエイという吸収の速いたんぱく源の性質を活かして、運動後の短い時間帯にロイシン閾値を超えることを意識した使い方をしています。

筋肉のつき方に差を感じたとき、それは意志や体質の差として片づけてしまいがちですが、実際には体内で起きている閾値の反応や、それを支える栄養状態の違いとして説明できることが多くあります。プロテインの量を追いかけるだけでなく、それがどのように働いているのかに目を向けてみると、これまで気づかなかった原因が見えてくることがあります。なお、腎機能などに指摘を受けている方は、たんぱく質の摂取量について自己判断せず、医師の指示を優先してください。

よくある質問

プロテインは一日に何回に分けて飲むのがよいですか?

回数そのものより、一回あたりの量が合成のスイッチを入れられているかが重要だと考えられています。少量を何度にも分けるより、まとまった量を摂る機会を一日のうちに確保するほうが、閾値を超えやすくなります。適量には体格や活動量による個人差があります。

トレーニングをしない日もプロテインを飲んだ方がよいですか?

筋肉の合成と分解は毎日続いているため、材料の供給を止めない意味では飲む価値があります。ただし、運動という信号がない日は合成の反応そのものが小さくなるため、飲む量を増やせばその分だけ筋肉が増える、という関係にはなりません。

ホエイとカゼインでは、どちらを選べばよいですか?

短時間で血中アミノ酸濃度を上げたい運動直後にはホエイ、供給を長く保ちたい就寝前などにはカゼインが向いていると考えられています。どちらが優れているかではなく、いつ届いてほしいかで使い分ける、という考え方が実際的です。

【執筆者】今村 雅史(銀座トレーニングラボ代表・パーソナルトレーナー歴24年)

進化学・神経科学に基づいたトレーニング指導を専門とする。NASM OPTIMA 2025・2026年度講師。

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