「週2回じゃ足りないですよね」
「本当は毎日やったほうがいいんでしょう?」
「仕事帰りに寄れるのは週1回が限界なので、それだと意味がないかなと思って」
銀座で働いている方の初回カウンセリングで、いちばん最初に出てくるのがこの質問なんですよ。回数の話から入る人は、たいてい「回数が足りないから自分は変わらないんだ」と思っています。
結論:週2回で十分に変わりますし、週1回でも変わります。うまくいかない原因は回数の少なさではなく、1回のなかで何を刺激したのかがぼやけていることのほうが圧倒的に多いです。回数を増やす前に、1回の中身を決めるほうが先なんですよ。
「回数を増やすほど早く変わる」という発想はどこから来ているのか
これは有酸素運動の感覚を、そのまま筋トレに持ち込んだときに起きます。走った距離が積み上がれば消費カロリーも積み上がる、という足し算の感覚ですね。筋トレはこの足し算では動きません。
筋肉に起きているのは「刺激を受けて、壊れて、作り直される」という一連の反応で、時間がかかるのは作り直しのほうです。刺激を入れる作業と、作り直しが終わるのを待つ作業。この2つは性質が別なので、刺激の回数だけを増やしても、作り直しが追いつかなければ積み上がりません。
筋肉が変わっているのは、ジムにいる時間ではない
トレーニング後にたんぱく質の合成が高まっている時間は、一般に24〜48時間ほどと言われています。つまり月曜に脚をしっかり使ったなら、火曜と水曜は「変わっている最中」なんですよ。ここでもう一度、同じ場所に同じ刺激を入れると、作り直しの途中でまた壊す作業をすることになります。
週3回通っているのに変わらないという人の中には、これが起きている人がいます。回数は多いのに、いつも同じ疲れ方をしていて、いつも同じところが張っている。そういうときは、増やすより分けるほうが効きます。
週1回で変わる人と、週3回で変わらない人の差はどこにあるのか
差が出るのは、狙った場所に効いているかどうかです。スクワットを例にすると、傍から見て同じしゃがみ方でも、お尻の後ろ側で支えている人と、前ももで踏ん張っている人がいます。前ももで踏ん張るクセがついている人が週3回スクワットをすれば、週3回ぶんの前ももを鍛えることになります。脚を細くしたくて通っているのに、太くなる方向に3回積んでいるわけです。
20年以上の指導で多いのは、回数が足りない人ではなく、この「効かせる場所がずれたまま回数だけ積んでいる人」のほうです。回数は数字なので本人にも見えますが、効いている場所は自分では見えません。だから見えるほうの回数を責めてしまうんですね。
銀座の通勤動線で考えると、現実的な頻度はどこに落ち着くか
銀座で働いている方の場合、平日の夜は会食や残業で予定が動きます。ここで週3回を約束すると、動かせない1回が必ず生まれて、その1回が崩れた瞬間に全部が崩れます。
私が最初に提案することが多いのは、週2回を基本にして、そのうち1回を「絶対に動かさない枠」として先に押さえてしまうやり方です。もう1回は動かしてもいい枠にしておく。この設計にすると、忙しい週でも「今週はゼロだった」がほとんど起きません。ゼロの週を作らないことが、3ヶ月続くかどうかを決めます。
当ラボが最初に見るのは、回数ではなく動きの質
初回で回数の話をする前に、立ち方と歩き方、しゃがんだときにどこで支えているかを確認します。ここで前ももに頼るクセが強い人は、いきなり重さを扱っても前ももが強くなるだけなので、支える場所を後ろ側に移す作業から入ります。
これは筋肉の大きさの話ではなく、どの筋肉に先に信号が行くかという神経のほうの話です。だから筋肉が大きくなるより先に変化が出ます。数週間で「同じ動きなのに前ももが張らなくなった」と言われることが多いのは、そのためなんですよ。
それでも頻度を増やしたほうがいいのはどんなときか
増やす価値が出るのは、1回の中で狙った場所に入る感覚が本人の中にできてからです。効かせる場所が決まってからなら、部位を分けて週3回にすると進みは速くなります。順番が逆になると、さきほど書いたとおり、ずれたまま3回積むことになります。
もうひとつは、体力そのものが落ちていて1回の総量を増やせない場合ですね。このときは1回を長くするより、短い回数を増やすほうが身体は受け止めやすいです。
ある会員のケース:週3回から週1回に減らして変わった人
デスクワーク中心の40代の方で、以前は別のところに週3回通っていて、脚だけが変わらないと言って来られた方がいました。動きを見ると、しゃがむたびに前ももとふくらはぎで支えていて、お尻がほとんど参加していない状態でした。
最初の1ヶ月は、あえて週1回にして、その1回を支える場所を変える練習だけに使いました。重さもほとんど使っていません。2ヶ月目から週2回にして、そこでようやく負荷を上げ始めています。本人が最初に気づいた変化は見た目ではなく、階段を上るときに前ももが先に疲れなくなったことでした。効いている場所が変わると、日常の疲れ方のほうが先に変わるんですよ。
通わない日に、日常のなかでできること
通わない日にやってほしいのは、追加の運動ではなく立ち方の確認です。信号待ちのときに、片脚に体重を預けて腰を横に流していないか。椅子から立つときに、上半身を大きく前に振って反動で立っていないか。
このあたりは1日に何十回もやっている動作なので、ここが変わるとジムの2回より影響が大きいことがあります。週2回のトレーニングは合計しても2時間ほどですが、立ったり座ったりは毎日ずっと続いていますからね。
頻度より先に、脚に何が起きているのかを切り分けたい方は、下半身痩せ専門の考え方をまとめたページもあわせてご覧ください。
よくある質問
Q. 週1回しか通えないなら、パーソナルより自分でやったほうがいいですか?
週1回しか取れないなら、むしろ人に見てもらう価値は上がります。回数が少ないぶん、その1回がずれていると取り返しに時間がかかるからです。効かせる場所が自分で分かるようになってから、自主トレに移していく順番のほうが早く進みます。
Q. 筋肉痛がないと効いていないということですか?
違います。筋肉痛は主に慣れていない刺激に対する反応で、効果の大きさとは一致しません。同じ内容を続けていれば筋肉痛は出にくくなりますが、そのあいだも身体は変わり続けています。筋肉痛を目安にすると毎回メニューを変えたくなって、かえって進みません。
Q. 有酸素運動は週何回やればいいですか?
脚を細くしたいという目的なら、有酸素の回数を先に増やすことはおすすめしていません。まず支える場所を変えて、日常の姿勢が変わってから、体力づくりとして足していく順番のほうが結果が出ています。持病がある方は、運動量を上げる前に医師の指示を優先してください。
【執筆者】今村 雅史(銀座トレーニングラボ代表・パーソナルトレーナー歴20年以上)
進化学・神経科学に基づいたトレーニング指導を専門とする。NASM OPTIMA 2025・2026年度講師。


