「真っすぐ立つと、内ももがぴったりくっついてしまいます」
「内もも用のトレーニングを続けているのに、隙間ができません」
「痩せている友人は隙間があるのに、自分は体重を落としても変わらないんです」
内ももの隙間は、脚の悩みの中でも特に「変わらない」と言われやすい場所です。
結論:内ももの隙間ができるかどうかは、脂肪の量よりも骨盤の幅と脚の骨の向きで決まる部分が大きいです。体重を落としても隙間ができない方は、努力が足りないのではなく、そもそも構造がそうなっているだけであることが少なくありません。ただし、内ももが「張って見える」原因のほうは変えられます。ここを分けて考えないと、いつまでも報われないんですよ。
隙間の有無を決めているものは何か
太ももの骨は、骨盤の外側から膝に向かって、やや内側に向かって伸びています。この角度は骨盤の幅によって変わります。骨盤が横に広い方は角度が大きくなり、膝どうしが近づきます。
つまり、立ったときに内ももが接するかどうかは、脂肪がつく前の段階である程度決まっています。この角度は骨の形なので、トレーニングでは変えられません。ここを目標にしてしまうと、達成できない目標に向かって走り続けることになります。
それでも変えられる部分がある
内ももが「太く見える」原因は、隙間の有無だけではありません。内転筋という内ももの筋肉が固まって張っている状態と、脂肪が内側に偏ってついている状態は、どちらも見た目に影響します。この二つは変わります。
24年の指導で多いのは、内ももを鍛える動きばかりを熱心にやって、内転筋が硬くなっている方です。硬く縮んだ筋肉は太く見えます。細くしたくてやっていることが、太く見せる方向に働いていることがあるんですね。
内ももが硬くなる仕組み
内転筋は、脚を閉じる働きだけでなく、立っているときに骨盤を安定させる役割も担っています。お尻の筋肉がうまく働かないと、その安定の仕事を内転筋が肩代わりします。
肩代わりが続くと、内転筋は常に力が入った状態になります。触ると硬く、伸ばすと痛い。この状態で内もものトレーニングを足しても、硬さが増すだけです。必要なのは、肩代わりの原因になっているお尻を働かせることのほうです。
進化の視点から見ると
人間は二足歩行に移行する過程で、骨盤の形を大きく変えてきました。内臓を支え、出産に対応し、片脚立ちで体を安定させる。これらを同時に満たすための形が、いまの骨盤です。
その結果として生まれた骨盤の幅の個人差が、内ももの隙間の個人差になっています。隙間があるかないかは、体の完成度とは関係がありません。ここは、そういうものとして扱っていい部分だと考えています。
銀座トレーニングラボでの評価の仕方
当ラボでは、内ももの相談を受けたとき、まず立ち姿勢で膝とつま先の向きを確認します。膝が内側に入っているか、つま先だけ外を向いていないか。次に、内転筋を触って硬さを見て、片脚立ちでお尻が働いているかを確認します。
そのうえで、「隙間そのものは構造の影響が大きいので目標から外しましょう」とお伝えすることもあります。目標を現実に合わせて置き直すのは後ろ向きな作業に見えますが、達成できる目標に切り替えたほうが、結果として見た目は変わります。
日常でできること
内ももを伸ばすとき、痛いところまで押し込まないでください。硬くなっている筋肉を強く伸ばすと、防御的にさらに縮むことがあります。息を吐きながら、じわっと20秒程度で十分です。
立っているときに、両足の裏全体で床を感じるようにしてみてください。母指球だけに乗っていると膝が内に入りやすく、内ももが働き続けます。信号待ちのあいだだけでも意識すると、一日の合計では意外な時間になりますよ。
よくある質問
Q. 体重を落とせば隙間はできますか?
脂肪の量が減れば近づく方はいますが、骨盤の幅と骨の向きによる部分は変わりません。体重だけを追いかけると報われないことがあるので、原因の内訳を先に確認することをおすすめします。
Q. 内もものトレーニングはやめたほうがいいですか?
やめる必要はありません。ただし、内ももだけを集中して鍛えるより、お尻と一緒に使えるようにするほうが見た目には効きやすいです。
Q. 隙間がないと不健康ということはありますか?
ありません。骨格の個人差であり、健康状態とは別の話です。気になる症状がある場合は、見た目とは切り離して医療機関に相談してください。
【執筆者】今村 雅史(銀座トレーニングラボ代表・パーソナルトレーナー歴24年)
進化学・神経科学に基づいたトレーニング指導を専門とする。NASM OPTIMA 2025・2026年度講師。


