お客様のご紹介:Cさん(25歳・アパレル販売員)
「ヒップアップにはスクワットが一番、と聞いて重りを担いで頑張ったんです。でも1ヶ月後、お尻は変わらないのに、太ももの前側と外側がパンパンに張ってしまって…。スキニーパンツが前よりキツくなったんです」 。
美意識の高いCさんは、良かれと思って始めた筋トレが裏目に出てしまい、トレーニングそのものに恐怖心を抱いていました。これは「トレーニングの王様」と言われるスクワットが、やり方を一つ間違えるだけで理想とは真逆の結果を招いてしまう、諸刃の剣であることを示しています。
2ヶ月間の変化:「効かせる」ことの重要性
Cさんのプログラムは、まず「スクワットへの恐怖心を取り除く」ことから始まりました。重量を扱うことは一旦すべてやめ、彼女の身体の癖を徹底的に分析。2ヶ月後、彼女の脚は劇的に変化しました。
【Cさんの2ヶ月間の変化】
- ヒップ: 88cm → 92cm (+4.0cm) ※トップの位置が上がり、丸みが出た
- 太もも周り(付け根): 53cm → 50cm (-3.0cm)
- 太もも周り(中央): 48cm → 46cm (-2.0cm)
注目すべきは、ヒップサイズはアップしているのに対し、太もも周りは逆に細くなっている点です。これは、脂肪が落ちただけでなく、筋肉のつき方が劇的に改善されたことを意味します。
科学的解説①:脚を太くする「クワッド・ドミナンス」の正体
Cさんの脚を太くしていた犯人。それは**「クワッド・ドミナンス(大腿四頭筋優位)」**という状態でした。これは、動作の際に太ももの前側にある大腿四頭筋が、お尻の筋肉(大殿筋)や太ももの裏側(ハムストリングス)よりも過剰に働いてしまう状態を指します。
その原因は、現代人のライフスタイルに深く関わっています。ヒールなどによる**「足首の硬さ」や、デスクワークによる「弱い体幹」があると、スクワットの際に重心が前方にかかり、負荷のほとんどを太ももの前側で受け止めてしまうのです 。また、日常生活で股関節を大きく動かす機会が減り、脳が「股関節の使い方」**を忘れてしまっていることも大きな原因です。
科学的解説②:解決策は「土台再構築」と「動作の再学習」
Cさんの脚を「太くするスクワット」から「美しくするスクワット」へと変えるため、私たちは3段階のアプローチを取りました。
- Step 1: 土台再構築(リハビリテーション) まずは重量を一切扱わず、足首の柔軟性改善や体幹の活性化に努め、スクワットの前提条件となる身体の機能を回復させました。
- Step 2: 動作の再学習(ヒップヒンジの習得) 次に、脳に正しい動きを再教育しました。壁にお尻をタッチさせる練習から始めるルーマニアンデッドリフトや、椅子に座るようにしゃがむボックススクワットで、「膝を前に出す」のではなく「お尻を後ろに引く」という正しいスクワットの軌道を、身体で覚えてもらいました 。
- Step 3: 実践(プログレッション) 正しい土台と動きが身についたところで、ようやく本格的なスクワットを再開。自重から始め、段階的に負荷を高めていくことで、安全かつ効果的にお尻の筋肉を鍛え上げました。
結果:一番の苦手種目が、一番の得意種目に
「スクワットって、こんなにお尻に効くものだったんですね!今までの私のスクワットは、ただの“膝の屈伸運動”だったんだってよく分かりました」とCさん。
もしあなたが、「筋トレを始めたら、逆に脚が太くなった」と感じているなら、それはあなたの努力が間違っているのではなく、やり方があなたの身体に合っていないだけかもしれません。科学的根拠に基づいた本物のトレーニングで、最短で最高の結果を手に入れましょう。